政府の専門家会議の尾身茂副座長に対し、立憲民主党の福山哲郎幹事長が国会質問で答弁内容にクレームを付けたことについて、医療関係者らからツイッター上で批判も出ている。
野党からヤジが飛んだことも含めて、「話を聞こうという態度じゃない」といったものだ。ツイッターでは「#福山哲郎議員に抗議します」のハッシュタグも拡散し、トレンド1位に。福山氏は、その後の記者会見で、発言の意図について釈明した。
■安倍晋三首相がアドバイスしたとして、野党から激しいヤジも
「まず、この間の大変なご尽力に心から感謝申し上げます」。2020年5月11日の参院予算委員会では、福山氏は、こう述べて、尾身氏への質問を始めた。
尾身氏が4日の記者会見で新型コロナウイルスの感染者が無症状や軽症も含めると陽性判明者の10倍以上いるとの専門家の見方に同意したと主張し、そうすると感染者は約10万人いるという認識でいいかと聞いた。
これに対し、尾身氏は、10倍に同意したわけではないとし、次のように説明した。
「実は10倍か15倍か20倍というのは、今の段階では誰でも分かりません」
「感染者をすべて捕捉しているわけではない、この感染症の特徴からしてそういうことだと申し上げました」
しかし、福山氏は、引き下がらず、院内感染の原因にもなる無症状や軽症の人たちを捕捉しないでどうやって次の対策をするのかと疑問をぶつけた。そのうえで、尾身氏に対し、「10倍の可能性も否定もできないし、肯定もできないんですね?」と再質問した。
尾身氏が答弁に出てくると、安倍晋三首相が何らかの「アドバイス」をしたとして、野党から激しいヤジが飛んだ。福山氏も、「総理が答弁指示してどうするんですか」と自らの席で声を荒げ、速記が中断される騒ぎになった。
重要な情報を示しても、「まったく答えていただけませんでした」
その後、答弁に立った尾身氏は、「大切なポイントを指摘していると思います」と福山氏の質問に理解を示し、医療機関での検体数アップなどから、東京都の陽性率がある程度正確に出るようになり、その率が7%だったことを示した。
そして、その説明を始めると、福山氏は、「ちょっと短くして下さいよ」とクレームを付け、尾身氏は、「分かりました」と答えた。そのうえで、「一般のコミュニティのリスクは、医療機関に行く人よりもリスクは低い」「地域のコミュニティは、7%を超えることは普通はない」と明らかにした。
これは、市中にどれだけ感染が広がっているかを示す重要な情報だ。
ところが、福山氏は、このことには関心を示さず、こう質問に立った。
「まったく答えていただけませんでした。残念です」
感染者が10倍以上かどうかを、あくまで聞きたいという姿勢のようだ。そして、無症状や軽症の人たちまで捕捉しないと感染の全体像が見えないと強調していた。
このやり取りをテレビなどで見ていた医療関係者からは、福山氏の質問ぶりや野党からのヤジに対し、ツイッターで疑問の声が次々に出た。
ある内科医は、「話聞くために専門家を呼んだんじゃないのか?」と疑問を呈し、ヤジについては、「せめて文字化して記録に残してほしい。議事録に残さず、誰が言ったかも特定されず、好きなだけ悪口を叫べるのは、文化じゃない」と指摘した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース